犬のチカラ

 いい年齢の大人になるまで、私の人生に動物、いわゆる”ペット”は縁がないものと思っていました。しかししかし、想定外の素敵なギフトが用意されていました。

 十数年前、当時住んでいた家から駅を挟んだ数十メートル先に、ミニチュア・ダックスフントフラットコーデット・レトリバーのブリーディングと生体の販売を行うお店がオープンしました。家からわずか100m。当時、隣の駅に住んでいた同僚にそのお店のことを聞き、元々大型犬が好きな家人は興味津々。見るだけ、ということで興味本位で覗いてみました。

あまり犬が得意でない私、恐る恐る階段を昇るとそこにいたのは、ゴキゲンにしっぽを左右に振る茶色の大型犬。さして興味もないけれど、フラットコーデット・レトリバーというこの犬種のことや性格などについてお店の方と話をしていると、その大きく揺れるしっぽは私の太ももにバンバンあたってる・・こっ怖い、でも大人しくて優しそうでかっこいい犬、それが第一印象でした。

家の近くだということもあり、何かとそのお店の前を通ることが多く、何気なく店のある2Fを見ると、いつも窓際のスペースに何頭かの仔犬がじゃれて遊んでいます。

時々通ううちにすっかりフラットコーデット・レトリバーの魅力に引き込まれ、飼えるかな、いつか飼えたらいいね、飼いたいね、今飼いたい!と気持ちはどんどん大きくなり、連日お店に通い、仔犬が生まれるのを待ち、引っ越しをし、最初にお店を訪ねてから約3年後、念願のフラットコーデット・レトリバーの♀を迎えました。生後約2ヶ月半ですでに6キロあり、ほとんど仔犬のイメージはありませんでしたが、この犬種の性格も相まって、それはそれは可愛かったです。

フラットコーデット・レトリバーは、レトリバーの中でも”ハイパー”とか”ラテン系”と称され、いつもゴキゲン、元気いっぱいの犬種です。ほおっておいたらこちらが怪我をするか、また他の犬や人に怪我をさせてしまう可能性もあると思い、基本的なしつけのレッスンに通い始めました。

 犬のしつけは、トレーナーさんから飼い主が教わり、それを飼い主が犬に教えます。犬は人が教えないことはできません。してほしいこと、してはいけないことを根気よく気持ちを込めて教えることで、犬は徐々に飼い主の伝えたいことを理解していきます。人の左側を寄り添って歩くこと、待て、座れ、伏せ等々、しつけをするということ、それらを教える過程で大切なのは飼い主と犬とのコミュニケーションだということを教わりました。結果、我が家のしつけは概ね功を奏し、オテンバではありますが、優しいコに育ちました。

現在、子供の数よりペットの数の方が多いと言われていますので、皆様の中にも犬と生活されている方が多くいらっしゃると思います。是非、愛犬との”今”を楽しんでください。

ある動物病院の先生が書いたコラムがとても素晴らしいので、和訳を転載させていただきます。 

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ある日、癌で様態が悪くなった10才のアイリッシュウルフハウンド、ベルカーを診に、オーナー家族のロン、奥さんのリサ、そして彼らの息子のシェーンの家に行きました。
彼らはベルカーをとても愛していたので、奇跡がおこることを願っていたけれどもうこれ以上は治療のしようがない状態でした。
話し合った結果、苦しむベルカーを楽にさせてあげることになったのです。
夫妻は、これは大事なことだし、このことから学ぶこともあるだろう、とシェーンもその場に立ち会うことを決めました。次の日、彼らの家でベルカーは家族3人の腕の中で静かに眠りにつきました。
シェーンがこの状況をどのくらい理解しているのかはわからないけれど、彼はとても落ち着いているようでした。私と夫妻は、人間に比べて犬の命の短いことの悲しさを話していました。

すると、シェーンが 
”僕、なんでか知ってるよ”
と言うのです。
”人は、どうしたらいい人生を歩めるかを学ぶために産まれるんだ。
みんなを愛し、みんなにナイスにできるようにね。
でも犬はもうそういうことを最初から全部わかってるんだ。だから長くステイしないんだ。”
この6才の少年の説明は、私が今まで聞いたどんなものより癒されるものでした。
そして気がつかされたのです。

Live simply.
Love generously.
Care deeply.
Speak kindly.

もし犬が人生の先生だったら、私たちはこういうことを学ぶでしょう。
愛する人が帰ってきたら喜んでかけより迎える。
新鮮な空気や風を顔に受けるピュアな幸せを喜ぶ。
お昼寝をする。
起きる前にストレッチをする。
毎日走り回ったり、ふざけたり、ジャンプしたりする。
アテンションを喜び、スキンシップを受け入れる。
軽く唸れば済む時に噛みつかない。
暖かい日は草っぱらに寝っ転がって休憩。
暑い日は水を沢山飲んで日陰に居る。
ハッピーな時は体中で喜びを示す。
ただ長いだけの散歩を喜ぶ。
食べることを心から喜び、十分食べたらごちそうさま。
自分に忠実に、自分にウソをつかない。
自分の欲しい物が埋まっていたら、見つかるまで掘る。
もし誰かが悲しんでいたら、何も言わずにただそばに寄り添う。
日々をありがたく送る。
毎日の全てを楽しむ。

everyday veniceより転載
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犬を飼ったことがある方には、大きくうなずいたり、思わず笑ってしまったり、少し胸が熱くなったり、目に浮かぶ光景が沢山あるのではないでしょうか。シンプルで大切なことばかりです。


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